Python.jpやReactifluxなど最近SlackからDiscordへの移行の話をよく聞きます。 チャットツールという点では共通ですが、全く持って使い勝手の違うツールですので、整理しておきます。
まとめ
- Slackは、(会社を想定した)組織向けのツール。
- Discordは、オープンなコミュニティ(本来はゲーマーコミュニティ)向けのツール。
詳細な比較
Slack | Discord | |
---|---|---|
バックグラウンド | ビジネス | ゲーマー |
招待、参加 | メールアドレスによる招待が基本 | リンク一つで参加が可能 |
導入ハードル | それなり | それなり |
課金 | ワークスペース | 個人 |
多重アカウント | 切り替えが容易 | 一つのアカウントで複数のサーバーに入る |
アカウントのステータス | ワークスペースごと | アカウントごと(サーバー共通) |
権限 | 割とざっくり | 強力、詳細でサーバー内完結 |
スレッド | あり | なし |
モバイル対応 | 微妙 | 微妙 |
違い
この中でも特に特徴的である以下四点を詳細に見ていきます。
- 課金形態
- アカウント
- 権限
- スレッド
課金形態
Discordが基本無料のツールで課金はオプションなのに対して、Slackの無料版は機能制限版の色合いが強いです。 また、Slackがワークスペースに対して課金するのに対して、Discordは個人単位で課金します。
Slackを大きな組織でちゃんと回すとそれなりの金額になるので、趣味の域は超えてしまうかな、という印象。
不特定な大人数を抱える場合には、Discordに軍配が上がります。
アカウント
Slackのアカウントはワークスペースごとに別個のものです。纏めてログインすることはできますが、基本的にプロフィールからステータスまでワークスペースごとに設定します。
一方のDiscordは、サーバーをまたいで一つのアカウントが存在するイメージです。アイコン、ユーザー名はサーバー共通でブロック設定もサーバーをまたいでアカウント間で行われます。
権限
意外と無視されがちなのが権限回りで、Slackはフラットな構造、Discordは恐ろしいほど厳格なピラミッド型構造です。 Slackが組織の補助として使われるのに対して、DiscordはDiscord自体をベースとしてコミュニティが作られるという思想の違いかと思います。
Discordは、神経質なほど詳細に権限の管理が可能で、チャンネル一つ一つに、書き込める人と書き込めない人、読めるだけの人、存在を知らない人など詳細に設定できます。 慣れてない人が権限設定を行うとなぁなぁに権限を譲渡してまずいことになる、ということも十分起こりえます。
スレッド
両者の思想をよく反映したものとして、スレッド制があります。 コメントに対して、スレッドを立てて個別に議論できるものです。
Slackは、“none of your business”と言わんばかりにバシバシスレッドを立てて、チャンネルの主流となるタイムラインが圧縮されます。 スレッドは、招待されるか気づいて自分で見るかしない限り、基本的には見ません。
Discordは、比較的だらだらと長くなりがちです。代わりに、チャンネルの話題が一つに絞られており全体の流れを重視しています。
共通点
共通して持っている特徴は、PCのネイティブアプリ使用を前提としており、Web版, モバイル版が両者ともに弱く、詳しくない人にとって導入のハードルが高いことです。 どちらも大量のチャンネルを抱えやすい性質を持つため、ツール初心者が初見でスマホでやろうとすると挫折コースまっしぐらです。
もともとビジネス向け、PCゲーマー向けのツール故に、PCの使用を前提に作られたものを、補助的にモバイル版を出しているに過ぎないので、当然と言えば当然です。
結びに
用途が違うけど混同されがちな2ツールを比較してきました。いかがでしょうか? ツール選定のミスはメンバーの不幸につながるので、しっかり行いましょう。