この記事を三行でまとめると
- GitHubのOctoverse(2019)曰く、大規模OSSへの日本からのコントリビューターが激増している
- しかし、国内の統計を調べてもいわゆるIT企業以外の事情を満足に実態を把握できているものはなさそう
- IT関連の議論をするに当たり、正確に実態を把握することが望まれる
はじめに
2019年のOctoverseには、A global team
と言う項目があり、国・地域別にGitHubのOSSに対する貢献を可視化しています。
初見で明らかに「日本が出てきすぎ」という感想をもったためちょっと詳細に見てみました。
出典:The state of Octoverse
注:GitHubだけがOSSの全てではありませんが、影響力が大きいことは間違いないので詳細に見ています。 注2:ちなみにここのOctoverseでのOSSは、2018年の時点で100人以上コントリビューターがおり、ライセンスが設定されているリポジトリ、のようです。
Octoverseにおける日本
OSSリポジトリの作成について日本は出てきません。
逆にコントリビューター数を表す以下の二項目では何度も”Japan”という単語が登場します。
- By percentage growth of open source contributors:3位(63%)
- Fastest growing regions on GitHub by percentage increase in contributors:5位(83%)
全体の成長が20~30%程度なので、GitHubにおいて日本からのコントリビューターが大きく増加しているようです。 また、後者については”Japan has continued to climb.“と書かれており、増加を続けていることがわかります。
ちなみに大きなグラフから読み取れる世界合計の動きは22%~25%増といったところでしょう。
Octoverseからわかることまとめ
- 日本からのコントリビューター数が大きく増加している
- 日本初のプロジェクト数については大きく増加しているとは言えない
IPAのIT人材白書
最新(2018年調査)から過去に遡ってみてみました。 Octoverseと同じ時期をカバーする資料はありませんでした
読み取れた中で重要そうなのは、
- パッケージソフトウェア業の従業員数が2017年から2018年の間に倍近く増加した
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ユーザー企業(ソフトウェア開発をメインとしない企業、製造業やサービス業など)のIT人材数をIPAが把握できていないように思われる
- ただし、医療福祉業界の小規模事業所だけ顕著にIT人材の比率が上がっている
大したことはわかりません…… 特に、IT企業に分類されない企業のITの状態への調査状況が悪いです
その他のデータについて
経産省やその他調べてみたのですが、良いものは見つからず……
まとめ:日本のITについて
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日本のITは大きく成長している(Octoverseから、成長していることはほぼ間違いない)
- いわゆるIT企業のデータだけでは説明できそうになく、ITに分類されない企業におけるITの動向が重要である
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ITに分類されない企業の実態を正確に把握している調査は見当たらない
- 日本国内組織による実態把握はちゃんとやったほうが良い
- そもそもIT関連の議論をする人々は何を元に議論しているのだろうか?